元外国籍を理由の入会拒否、津地裁は許容の判決。津地裁はクラブは私的な団体で拒否は許容範囲と!!
ゴルフ特信より、昨年5月に三重県桑名市の40代男性が岐阜県可児市の「愛岐カントリークラブ」への入会を断られ、〝元韓国籍の出自を理由にして入会を断られ、精神的な損害を被った”として、同クラブを相手取り慰謝料など330万円を求めた訴訟で、津地裁四日市支部が4月19日「違法性は認められない」として、原告の請求を棄却した。朝日、毎日、中日、東京など新聞各紙が電子版で報じるなど注目された。
男性は3世の在日韓国人だったが、2018年に日本国籍を取得。昨年2月に、戸籍謄本などを添えて同クラブに入会を申し込んだが、拒否されたという。その際、元外国籍の枠が空かないことから「残念ながら、今回はご希望に沿えません」との電話連絡を受けていたという。このため男性側は、出自を理由とした不当な差別で、法の下の平等を定める憲法14条の趣旨に反する不法行為だと主張し、クラブに慰謝料の支払いなどを求めていた。
今回の報道で毎日新聞では、判決文から「元外国籍であることが入会拒否の唯一の理由ではない」というクラブ側の主張を退け、入会拒否は元外国籍であることが理由だと認めたと引用した。一方で、クラブは会員となるために正会員2人の紹介と理事会の承認を得る必要があるなど「会員同士の人的つながりが強い閉鎖的かつ私的な団体」だと指摘し、「平等の権利への侵害の程度は憲法の趣旨に照らし、社会的に許容しうる限界を超えるとは認められない」との判決理由を報じた。
中日新聞は判決文から「(クラブは)会員による自主的な運営が行われている閉鎖的かつ私的な団体である」、「入会を認めるかの決定は最終的には理事会の裁量に委ねられている」と掲載。男性は長年、日本で社会生活を送っているだけに、元外国籍を理由にした入会制限は「合理的な理由があるか疑念もある」と説明にあるが、上記通り「憲法の規定に照らして社会的に許容しうる限度を超えるものとまでは認められない」との判決理由を掲載した。
また同新聞では、「人種差別撤廃条約に照らして違法行為であるとした三重県弁護士会の考えと逆の判断が下った。非常に残念。日本国籍を取得した人の入会拒否は私的自治の許される範囲ではない」との男性側代理人弁護士のコメントも紹介している。
男性側は今回の判決を不服として控訴する方針と各紙が伝えている。
ちなみに最高裁は2002年7月に”私的な団体は「結社の自由」から、国籍の制限も可”として〝国籍による入会拒否は「許容範囲」と千葉県の株主会員制クラブでの入会拒否判決で判断を下している。
(ゴルフ特信より)