富士三次CC(広島)、経営悪化で昨年12月29日をもって営業終了。不動産を売却し会員への弁済に
1977(昭和52)年8月開場の富士三次カントリークラブが、昨年12月29日をもってゴルフ場の営業を終了した。経営する富士観光(株)が資金繰りに行き詰まったためで、代理人の久笠信雄弁護士によると、会員に通知を行うとともに中国新聞社の取材に対して跡地を大規模太陽光発電所(メガソーラー)に売却する計画を明らかにした。
中国新聞の報道によると、富士観光(株)は2022年12月期売上高が1億4700万円で純利益2250万円を計上していたが、来場者の減少などで経営が悪化し、期限までの預託金返済が滞る状態が続いていたという。負債総額は2022年12月末で13億5000万円。うち12億3300万円がゴルフ会員約1700名の預託金。代理人が昨年12月22日付で全会員へ書面を送付し、現在交渉中のメガソーラーへの転用計画や、会員権譲渡の提案等を説明したと報じた。
代理人は「富士観光は2005(平17)年に民事再生を申請し、翌年に計画案が認められ再建に努めてきたが、入場者が伸び悩み、退会会員に対する弁済資金が用意できないほど資金繰りに窮するようになった。ゴルフ場は唯一の事業であるが営業継続は難しく、会員にできるだけ迷惑を掛けないように不動産を太陽光発電事業者に売却し、会員への弁済に充てることにした」と説明している。ゴルフ場の事業承継でも何件か交渉したが、会員への弁済等に相当する条件には至らなかったようだ。
富士観光(株)が民事再生法を申請して、提示した再生計画案は、自主再建型で退会会員には預託金の90%をカットして残り10%を弁済(年間弁済枠を超えた場合は抽選により順位を決める)、継続会員は70%カットし、残り30%が新預託金(平成23年4月1日まで据置き、年間限度枠超過の場合は抽選弁済)となっていた。
現会員の弁済額について、代理人は「預託金額面全額の弁済は不可能だが、会員権相場を上回る弁済額を予定している」と説明している。
ちなみに、同CCは中国自動車道・三次ICから車で5分の立地にあり、中村寅吉プロの設計監修により、楽しいゴルフを満喫できる、美しいコースレイアウトとホームページに説明があるように、比較的コースも広く、スコアが出やすいコースだったという。